ポリッシュという作業があります。
ケースやブレスレットを研磨して、傷を消し、表面を美しく仕上げる作業です。

「綺麗になりますか?」と聞かれれば、なります。
見違えるように綺麗になります。

それは間違いありません。

ただ私はオーバーホールのたびに必ずやるものではない、と思っています。

 

ポリッシュは、削る作業です

綺麗になる理由は「表面を削るから」です。
傷ごと削り取って、新しい面を出す。

そして劣化が大きくなりすぎると、
ポリッシュそのものがかけられなくなることもあります。

だから、タイミングが大事です。

20年から30年は、待てます

私の感覚では、購入から20年から30年くらいまでは、
ポリッシュをかけなくていいと思っています。

結構長い期間に聞こえるかもしれません。
でも高級時計との付き合いは、それよりずっと長いことが多い。
その中の20〜30年は、案外気にしなくていい期間です。

日常で使っていれば、傷はつきます。
それは時計が生きている証拠でもある。
その傷を全部消すことが、必ずしも正解ではありません。

ただ、一度だけやっておきたいタイミングがあります

「オールド」と呼ばれる前に、一度ポリッシュをかけておく。
これはお勧めしています。

劣化が大きくなりすぎるとポリッシュがかけられなくなる。
その前に一度リセットしておく。

そしてその効果が、実は想像以上です。

毎日傷だらけの時計を見慣れていると、
ポリッシュ後の仕上がりが新品で買った時より綺麗に見える。

実際に綺麗になっているのですが、
見慣れた目には、それ以上に輝いて見えます。

そしてまた傷を溜め込んでいく。

ポリッシュをかけた後はまた日常で使い続けてください。

傷がつきます。
くすんでいきます。
でもそれでいいんです。

傷を溜め込みながら、
その時計は少しずつ自分の時計になっていきます。

ポリッシュは、その過程の中で
一度だけリセットするための作業です。
何度もやるものではなく、タイミングを見て一度だけ。

それくらいの距離感が、
時計とのちょうどいい付き合い方だと思っています。

御徒町で創業50年のカナルクラブでは、複雑機構を含む高級機械式時計の点検・オーバーホールを承っています。ポリッシュについてもお気軽にご相談ください。

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