古い時計を修理に持ち込まれる方が増えて感じること

古い時計を修理に持ち込まれる方がいます。
年齢を重ねたお客様が、長い間しまってあった時計を持ってこられることも少なくありません。
大切そうに手に取りながらも、特別に気負った様子はなく、
「これ、動きますかね」と尋ねられます。
「動かなくなった時計を直したい。」
「久しぶりに使ってみたくなった。」
「親から受け継いだものだから、大切に使い続けたい。」
ご相談の理由はさまざまです。
そんなお客様と接する中で、最近、少し気になる変化があります。
眠っていた時計が再び動き出す

引き出しにしまったまま、何年も経っていた時計。
壊れていたわけではないけれど使う機会がなく、そのままになっていた。
そんな時計を、最近になって修理に持ち込まれることが増えたように感じます。
「また使ってみようかと思って」
何気ないひと言ですが、その時計が再び使われるきっかけは人それぞれなのだと思います。
その背景には、時計を取り巻く環境の変化もあるのかもしれません。
時計の価値を、あらためて考える

ロレックスやオメガなどの機械式時計はここ数年で価格が大きく上がりました。
新たに購入しようとすると以前よりも高額になっているモデルも多く、なかなか手が届きにくいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そうした状況の中で、すでに手元にある時計にあらためて目を向ける方もいるのではないでしょうか。
「今、同じものを買おうとしたら、いくらくらいするんだろう」
「せっかく持っているのだから、また使ってみようかな」
そんな思いが、しまってあった時計を取り出すきっかけになっているのかもしれません。
時代の変化が、時計との付き合い方にも少しずつ影響している。修理の現場にいると、そんなことを感じます。
私たちにとってもあらためて考える機会に
古い時計を持ち込まれたとき、以前は「この時計を直したいと思われるほど、大切な思い入れがあるのだな」と感じることがありました。
長い間使われていなかった時計を、もう一度使えるようにする。そのことを、どこか特別なこととして受け止めていたのかもしれません。
けれど、さまざまな時計をお預かりする中で、古い時計を修理して使い続けることは、決して珍しいことではないのだと、あらためて感じるようになりました。
長く使ってきたものを、必要な手入れをしながら使い続ける。
それは、時計との自然な付き合い方のひとつなのだと思います。
私たちにできるのは、その時計が再び時を刻めるよう状態を確かめ、一つひとつ丁寧に修理することです。
お客様がどんな思いで時計を持ち込まれたのか。その背景に思いを巡らせながら、目の前の時計と向き合っています。
時計に残っているもの
修理のために持ち込まれる古い時計には、きれいな状態を保っているものもあります。
長い間、大切に保管されていたのでしょう。
もちろん保管状態や時計の種類によって必要な修理は異なりますが、適切なメンテナンスによって、再び使えるようになる時計もあります。
そして、そうした時計には、新しく購入した時計とはまた違った魅力があります。

自分が若かった頃に使っていた時計。
親が身につけていた時計。
人生のある時期を、ともに過ごしてきた時計。
そこには、持ち主にしかわからない記憶や思い出が重なっていることもあるでしょう。
時計の価格が上がったことで、あらためて注目されるようになったものもあるかもしれません。
けれど、価格だけでは測れない価値も、時計にはあるのだと思います。
長い間しまってあった時計を、もう一度使ってみようと思う。
そのきっかけは何であっても、時計が再び日常の中に戻ってくることは、私たち修理に携わる者にとってもうれしいことです。
引き出しの中の時計を出してみませんか?

もし、ご自宅に長い間使っていない時計があれば、一度取り出してみてはいかがでしょうか。
動かなくなっていても、状態によっては修理できる場合があります。
長い間動かしていない時計は、内部の油の劣化などが進んでいることもあるため、無理に動かそうとせず、まずは状態を確認するのがおすすめです。
もう使えないと思っていた時計が、再び腕元で時を刻み始めるかもしれません。
時計は長い時間を経て、また使われる日を迎えることがあります。
「引き出しの中で眠っていた時計と、もう一度一緒に時間を過ごしてみる。」
そんなきっかけになれば、うれしく思います。
御徒町で創業50年のカナルクラブでは、複雑機構を含む高級機械式時計の点検・オーバーホールを承っています。引き出しから時計が見つかった際は、お気軽にご相談ください。
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