大切な時計と長く付き合うために。
知っておきたい日常の取り扱いガイド

私たちの究極の目標は、“部品交換が不要な時計のメンテナンス”です。それには次のオーバーホールまでの期間のケア(時計オーナー様の日々のケア)も重要となります。
ここでは高級時計のオーナーの皆さまに、大切な時計の正しい扱い方をガイドいたします。


部品の破損や劣化を防ぐために、日常で気をつけたい3つのこと。

ゼンマイはリューズで巻く

オートマチック時計は、ゼンマイが全巻状態の時にだけ精度が良くなるように作られています。
オートマチック時計は2日ほど使用しないと止まりますので、その際はリューズでゼンマイを十分に(40〜50回)巻いてから着用してください。

ローター(自動巻き)についてのご注意

時計を振ってゼンマイを巻いた場合、ゼンマイ巻き不足になりやすくなります。時計が止まりやすくなったり、精度が悪くなったりしますので、必ず手で巻くようにしてください。
また、油が劣化した状態で時計を勢いよく振ると、ローター(回転オモリ)が損傷しやすくなりますので、ご注意ください。

実験ゼンマイ巻き不足による
精度変化

オメガの場合

モデル スピードマスターA スピードマスターB シーマスターA シーマスターB
①全巻/歩度 +7s +7s +8s +5s
②半巻/歩度 +8s +10s +11s +8s
①停止直前/歩度 -53s -50s -40s -56s

ロレックスの場合

モデル サブマリーナ デイトジャストA デイトジャストB デイトジャストC
①全巻/歩度 +6s +3s +5s +7s
②半巻/歩度 +8s +5s +7s +8s
①停止直前/歩度 +15s -24s -22s -15s

上の結果からわかるように、半巻状態では全巻状態に比べやや進みが大きく、また、巻きがかなり少ない状態では1日に1分近い遅れが生じます。

ロレックスは誤差がやや少ないですが、同じ傾向が見られます。また、稀にゼンマイ巻きが少ない状態で進みが大きくなるものもあります。

磁気による影響

パソコン、テレビ、携帯電話、磁気健康器具など磁気を発するものにはなるべく近づけないようにしてください。磁気は時計の遅れ、進みの原因になります。(壊れるわけではありません)

脱磁前後の精度変化実例(非常に強い磁気が入った場合)

モデル シーマスター120 タグホイヤーリンク スピードマスター
脱磁前/歩度 +125s +38s +22s
脱磁後/歩度 +6s +7s +6s

時計の防水性の低下

日常防水時計は非防水としてご使用されることをお勧めします。身近な水道などでも予想を超える水圧がかかることがあります。

また完全防水時計でもお風呂・シャワーなどの温水にさらすことは厳禁です。パッキンに塗布してあるグリスが温水により流れ出し、防水が効かなくなる可能性があります。

また、クロノグラフのようにボタンが付いた時計は基本的に非防水時計としてご使用になるのが望ましいでしょう。

リューズの締めすぎに
注意!

完全防水時計のねじ込み式リューズは、必要以上に強く締めすぎるとネジ山が破損します。リューズはどのメーカーでも高額な部品です。

リューズ破損

防水性低下

多くの内装部品が
錆びる

メンテナンス費用
大幅アップ

リューズを守るには?

時計の「特性や苦手なこと」を知り
大切な時計を守りましょう。

物理的な衝撃は苦手です。

腕時計は本来とても繊細なもの。落下や壁などにぶつけたショックで、内部の部品が破損する可能性があります。腕時計をつけたままゴルフなどのスポーツをされる方もいらっしゃいますが、スポーツの際は外したほうが時計のためには良いでしょう。

水や汗は苦手です

時計の内部に水分や汗が浸入すると、サビの発生や部品の劣化につながる恐れがあります。水分侵入の原因となりやすいのは、主に「ガラスの縁のカケ」「裏ブタの亀裂・劣化」「リューズ」の3ヶ所です。「ガラスの縁のカケ」「裏ブタの亀裂・劣化」は防ぎようのないケースもありますが、「リューズ」に関しては壊れていなくても水が浸入する可能性があります。

リューズは破損しやすいもの。

毎回のオーバーホール料金をリーズナブルにするために、日常の中で特に気をつけたいのが「リューズ」の破損です。リューズの破損には主に3つの原因があります。原因を知ることで、リューズの破損を回避することができます。

リューズ破損の主な原因

①ネジ込み式リューズを強く絞め過ぎることによるネジ山の破損
②ネジ込み式リューズを間違った角度で締めたことによるネジ山の潰れ
③サビに強いステンレス製リューズでも腐食する

詳しくは→リューズについて

ゴムパッキンは劣化します。

ゴムパッキンが有効なのは最大5年までと言われており、気づかぬうちに劣化しています。 ゴムパッキンが劣化すると、時計を水につけなくても汗が内部に入り、内部部品にサビが出てしまいます。時計内部を守る生命線ともいえるゴムパッキンを良い状態に保っておくために、オーバーホールは5年以内(理想は3年周期)に行うことをお勧めします。

油ぎれも起こします。

時計内部の油が切れている状態で長期間使用し続けると、時計は摩耗により少しずつ部品を壊しながら動くことになります。油ぎれを防ぐには、技術者による注油が必須になります。定期的なオーバーホールで注油を行うことで、時計内部のパーツは飛躍的に長持ちします。普段から「時計は油ぎれを起こすもの」という意識を持って、最適なサイクルでオーバーホールを行うようにしてみてください。

OUR MISSION

【次のオーバーホールまでのケア】

お客様がご使用されている期間に、重大なダメージを与えてしまわないための使用方法をお伝しています。リーズナブルで理想的なメンテナンスサイクルを維持していただくために、注力していることの一つです。

【アクシデントへの対応】

カナルクラブはあなたの時計のプライマリードクター。オーバーホールを通じてあなたの時計の状態を知り尽くしているからこそ、例えばオーバーホール後に「ぶつけてリューズが曲がった」などのアクシデントが起きても、安心してお預けいただけます。常に、次のメンテナンスを見据えた修理を行い、大切な時計を長くお使いいただけるよう尽力いたします。

“時計を長持ちさせる”ことは、我々修理業者の力だけではできません。
体の健康管理と同じで、オーナー様の時計に対する意識と、心がけが必要です。