2025.07.20

高級時計の価格高騰、その先にある「時計と人」の物語

ここ数年、高級時計の価格が新品・中古を問わず、歴史的な高騰を続けています。
もはや「資産」や「投資対象」として語られることも多くなりました。
しかし、その変化は単なる数字の話にとどまらず、時計オーナー一人ひとりの価値観や「時計との向き合い方」にも、静かに大きな影響を与えているように感じています。

高級時計の価格は、かつてないほど高騰しています。
新品も中古も、数年前とは比較にならないほどのプレミア価格となりました。
まるで時を刻む「道具」から、人生そのものの「証明」へと、
時計の存在意義が変化しているように感じます。

かつて20万円で手に入れた時計が、今では中古市場で80万円。（或いはもっと）
見慣れた時計が、ふとした瞬間に“価値ある資産”へと変貌を遂げる——
そんな現象が、いま世界中の時計オーナーのもとで起こっています。

この変化は、私たちにどのような影響をもたらすのでしょうか？

「投資だから手放すべきか」「せっかくなら使い続けるべきか」
多くのオーナー様が、そんな葛藤を抱えていらっしゃいます。
価値が上がったからこそ、手放すのは惜しい——
一方で、実用品として愛用し続ける喜びもまた大きいものです。

価格高騰は「ご自身の価値観」を映し出す鏡のような役割を果たしているのではないでしょうか。

これまでは「いつかは手に入れたい」「努力して手に入れる」という夢がありました。
しかし今や、欲しいモデルが高騰し、より遠い存在となってしまいました。

確かに金額が上がることで夢自体が大きく、強くなったとも言えます。
しかし新品を手にできる方はさらに限られ、中古でさえも“選ばれた方”のものへ。

その分、「持つこと」自体の意味が、より濃く、深いものとなっていくのだと思います。

価格高騰によって「誰でも持てる」時代が終わり、
オーナー様それぞれの“時計との物語”が唯一無二の価値となってまいりました。

たとえば、
・学生時代にアルバイトでご購入された思い出の一本
・ご家族から受け継がれた大切なタイムピース
・ご自身の節目にご褒美として手にされた時計——

これらは価格を超えた「人生の証し」といえるのではないでしょうか。

未来予想

「ご自身だけの時計ストーリー」を大切になさってください
　他の方と比べることなく、ご自身の時計に込めた想いを誇りに思っていただきたいです。
　価格はあくまで“おまけ”。本当の価値は、時計がどのように人生に寄り添ってきたかにあります。
今お持ちの時計を“使う喜び”をどうぞ忘れずに
　投資対象として保管するだけでなく、ぜひ日常で身に着けていただければと思います。
　美しい時を刻むその瞬間が、かけがえのない体験となります。
「手放す・持ち続ける」のご判断は“ご自身らしく”
　高く売れるからといって、慌てて手放す必要はございません。
　むしろ、手放す理由に“ご自身らしい物語”があるなら、それがきっと最善の選択です。
道具としてだけではなく、
ご自身と共に時を歩んできた小さな相棒。
時折、心のなかで「ありがとう」と声をかけてみてください。
それだけで、時計はまた一段と美しく時を刻みはじめるはずです。