カナルクラブでは文字盤の変色は、気にしなくていいと思っています。
あれは経年の味であって、構造的な問題ではないからです。でもステンレスブレスレットの傷みは、少し話が違います。今回はそのブレスレットについて少し書かせていただきます。
ステンレスが錆びにくい理由
ステンレスが錆びにくいのは、表面に酸化被膜(不動態被膜)が自然に形成されるからです。
空気中の酸素と反応して生まれるこの薄い膜が、金属の内部を守っています。ただし、この被膜には条件があります。空気に触れていることです。
ブレスレットの内側では何が起きているか・・・・

ブレスレットのコマとコマの接合部分。ピンやパイプが擦れる内側には、汗、皮脂、汚れが溜まりやすい箇所です。汚れが溜まると、空気が届かなくなります。
酸素との接触が断たれると、酸化被膜は維持できなくなります。
被膜が再生されないまま金属同士が擦れ続けると、腐食と摩耗が同時に進んでいく。
その結果として、コマとコマの隙間が開いてくる。ブレスレットが伸びてきた、と感じるのはそういう理由です。これは見た目の問題ではなく構造の劣化です。
放置するとやがてコマが外れたり、最悪ブレスレットごと落下する可能性もあります。
ロレックスやオメガのような高級時計でも、これは同じです。
ステンレスである以上、同じメカニズムで劣化します。ブランドは関係ありません。
リューズやボタンも、同じことが起きています実はこれ、ブレスレットだけの話ではありません。リューズやプッシュボタンの周辺も、同じメカニズムで劣化します。
隙間に汚れや皮脂が入り込み、空気が遮断され、酸化被膜が維持できなくなる。
リューズが固くなったり、ボタンが戻りにくくなったりするのは、
こうした腐食と摩耗が積み重なった結果です。
私はカナルクラブという時計好きの集まりで、このリューズやボタンの劣化についてよくお話しします。見た目には分かりにくい。でも内側では、少しずつ確実に進んでいます。
では、どうすればいいか

答えはシンプルです。洗うことです。ブレスレットを定期的に洗い、汚れや皮脂を落とす。
そうすることで空気の通り道が確保され、酸化被膜が再生される。
劣化のサイクルを断ち切ることができます。
特別な道具は要りません。
柔らかいブラシとぬるま湯で、丁寧に洗うだけで十分です。
防水性能が確認できている時計であれば、それほど神経質になる必要もありません。
定期的なメンテナンスというと、オーバーホールのような大がかりなことをイメージされる方もいます。でも日常的なケアは、もっとシンプルです。カナルクラブでは、ブレスレットメンテナンスコースがあります。
ブレスレットを洗う。それだけで、時計の寿命はずいぶん変わってきます。文字盤の変色は、時計が歩んできた時間の痕跡です。でもブレスレットの伸びは、防げる劣化です。
ぜひ、この機会にブレスレットへのメンテナンスをお勧めします。
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