ロレックスやオメガ(もちろんその他の時計でも)を長く使っていると、文字盤が少し変色してくることがあります。白かったはずが、少しクリーム色に。インデックスの周りが、うっすら黄ばんできた。これ、気になりますか?

お客様から相談を受けることがあります。
「文字盤が変色してきたんですけど、直せますか?」直せます。
文字盤を交換すれば当然綺麗になりますし、文字盤プリントという技術で復元することもできます。ただ、費用をお伝えすると、たいていこういう反応が返ってきます。「あ、そんなにかかるんですか。じゃあ、いいです」
最初は、お金の問題かな、と思っていました。でも少し違う気がしてきました。費用を聞くまでは「気になる」と言っていたのに、聞いた途端に「いいや」になる。それはつまり、それほど気になっていなかった、ということではないでしょうか。「気になる」のではなく、「気になるべきか気になっていた」だけで、本当は別に構わなかった。
私個人の意見を言うと、文字盤の変色は、直さなくていいと思っています。むしろそれは、時計が長く使われてきた証拠です。

ロレックスのコレクターの世界では、自然に変色した文字盤を「トロピカル」と呼び、珍重されることさえあります。これはロレックスならではの話でもあります。古い時計が価値を持つという特殊性があるブランドで、変色はその古さの証でもある。
(ちなみに「古いロレックスは価値が高くて、新しいものは低いのか」というと、
そうでもありません。新しいモデルはそもそも新品時点で希少価値があります。
つまりどちらも、それぞれの形で価値がある。)
変色した文字盤を新品に戻すことが、必ずしも正解とは限らないのはそういう理由もあります。
時計は使うものです。使えば傷むし、色も変わる。経年の痕跡をリセットして新品に戻すのが正解か、そのまま使い続けるのが正解か。答えはひとつじゃありません。
ただ、費用を聞いて「じゃあいいや」と思えたなら、それがその方にとっての答えだったんじゃないかな、と思っています・・・・
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