機械式時計は絶滅の危機に瀕していた

かつてほとんどすべての時計がクオーツにとってかわりそうな時代がありました。1970年クオーツショックと言われてる時代です。

その頃に書かれた本に「スイス時計業界の高級時計のシェア 97% 低価格時計シェア 0% これでは勝てない」という文章が書かれていました。

-時計店なら販売する高級時計が97%だと大喜びですが

-国の産業として見た時にこれはやはりまずいということになります。

高級時計97%と言っても販売戸数が圧倒的に少ないですから。

さて、ここでまず「誰が勝てない?」のか?・・・スイスです。

そして「どこに勝てない?」のか?・・・日本です。

当時、低価格時計は日本の独壇場でした。(その後スイスにSWATCHが登場します。当時、SWATCHは日本テレビコマーシャルもあったくらい本気で日本上陸を狙っていました。)

ただそこまでして日本上陸に熱心だったにもかかわらず、すぐに大きな成功を収めることはなかったようですし、実際に成功したのはそのずっと後になります。

しかし、なんだかんだ言っても世界的に成功したSWATCHはオメガやロンジンを傘下に収め、現在の巨大グループに成長していきます。つまり、たくさんの低価格時計を販売することで得たお金で有名高級ブランドを傘下収めたということです。しかし、有名ブランドの売りはやはり機械時計でした。それは今でも変わりません。

スイスは機械式時計の価値を上げることをしなかったらクオーツ時代の流れに飲み込まれていたはずです。しかしそこで踏みとどまったスイス時計業界は存続の危機を免れました。そうまでしてスイス時計業界が守った機械式時計、というより、スイス時計業界を救う切り札になった機械式時計というものはどんな不思議な力があるのでしょう。

機械式時計の何が気に入っているのか?・・・・・・

・毎日巻くから愛着がわく

・ちょっと時間が狂うから人間的だ

・電気を使わずあんな機械を作った人間は天才だ  等など・・・

とは言っても何かしっくりときません(~_~;)あまりにも個人的すぎます。根本的な理由ではないでしょう。

スイス時計業界を立て直したパワーはどこから来るのか?

そしてこれから書く、今後さらに高級時計の価値が上がっていくという予想は、一個人の好み・興味だけでは成り立ちません。高級機械式時計は同時代の他のアナログ機械が絶滅していく中でシーラカンスのように生き残りました。しかもかろうじて生き残っているのではなく堂々した存在感を持ってです。

これから社会状況の変化につれて人々の興味の対象としての高級時計の価値も変化します。そう思える最大の理由は、コンピューター、AIの進歩により人間の意識の方が変わるからです。つまり機械時計の価値はコンピューター化する世界に逆行(しかも見事に)しているからだと言えます。

この時代の流れに逆行して価値を増す傾向は、AIが実生活に登場する場面が多くなればなるほど当たり前になればなるほど、加速度的に増していくはずです。この正反対のものだからというのが、決定的な理由です。

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