
コーアクシャルは本当にメンテ不要?誤解されがちなポイント
「コーアクシャルならオーバーホールはいらない」と思われがちですが、それは誤解です。確かに構造上、摩耗しにくく精度も安定していますが、それでもムーブメントは精密な機械。定期的なケアなしに、長期的な信頼性を保つことはできません。
本記事では、コーアクシャルの構造的な特長をふまえつつ、オーバーホールの必要性や具体的なケア方法について詳しくご紹介します。
コーアクシャルはメンテ不要ではない
一般的に「摩耗が少ない」「精度が安定している」といった印象が強いコーアクシャルムーブメントですが、だからといって“メンテナンスフリー”というわけではありません。
■ コーアクシャルムーブメントとは?
コーアクシャルムーブメントは、従来のレバー脱進機に代わる新しい構造を採用した機構で、摩耗しやすい部品同士の接触を減らすことにより、潤滑油の使用量や頻度を大幅に軽減しています。これにより、理論上はメンテナンスサイクルを長くできるとされています。
■ 摩耗が起こらないわけではない
ムーブメント内部は非常に繊細な構造で、テンプやガンギ車、アンクルといった主要パーツには常にわずかな摩擦や負荷がかかり続けています。潤滑油の量が少なくても、時間の経過とともに油は劣化し、潤滑性を失ってしまいます。
そのため、たとえ日差が安定していたとしても、4年に一度の定期的なオーバーホールが強く推奨されます。
適切なサービス周期とは?
潤滑油は経年劣化によって徐々に粘度が変化し、適正な潤滑性を失います。これは従来のレバー脱進機でも、コーアクシャル脱進機でも共通の問題です。
また、外気の湿気や衝撃による微細なズレ、裏蓋パッキンの劣化なども、精度や防水性に影響を与えかねません。
- 見た目に変化がなくても、内部では劣化が進行していることがある
- 軽微なズレや摩耗のうちに対処することで、大掛かりな修理を防げる
- メーカー保証期間終了後も安心して使い続けられる
こうした理由から、カナルクラブでは4年に一度の定期的なオーバーホールを「安全性と合理性を両立した最適な周期」として推奨しております。
どんな症状が出たらすぐ相談?
以下のような変化に気づいた場合は、4年を待たずに一度ご相談ください。
- 日差が急に大きくなった(+15秒以上やマイナスが続く)
- リューズ操作が重い、巻き上げが渋い
- ローター音が急に大きくなった、または異音がする
- 使用中に一時停止するなどの不安定な動き
こうした症状は、内部のパーツ摩耗や油切れ、あるいは部品の破損予兆であることが多く、早期の点検が肝心です。

コーアクシャルを長持ちさせるためにできること
日々のちょっとした気遣いが、時計の寿命と精度を大きく左右します。以下のようなケアを習慣にすることで、コーアクシャル機構の恩恵を長く享受できます。
■ 着用後は軽く拭いて湿気を取り除く
汗や水分はサビや腐食の原因となるため、使用後はやわらかい布でケースや裏蓋を優しく拭くことをおすすめします。
■ 強い磁気を発する電子機器に近づけない
耐磁性能を備えていても、強い磁場に長時間さらされると精度に悪影響を及ぼすことがあります。スマホやスピーカーなど磁気を発する機器との距離を保つなど、日常生活の中で磁気環境に十分配慮することが大切です。
■ 衝撃を避ける
内部の繊細なパーツにダメージを与える可能性があるため、ゴルフやマリンスポーツなどの、強い衝撃が予想されるシーンでは外すのが無難です。
■ 年に1回程度、防水チェックだけでも行うと安心
パッキンの劣化やケースのわずかな歪みは、水分侵入のリスクを高めます。特に梅雨時期やダイバーズモデルを愛用している方には、防水性の定期確認をおすすめします。
コーアクシャル搭載モデルのオーバーホールならカナルクラブへ
当店カナルクラブでは、オメガのコーアクシャルムーブメントに関して、豊富な整備実績と専用の設備を備えております。cal.8500系・cal.8900系をはじめ、同軸機構特有の調整ノウハウを持った職人が対応します。
大切な一本を末永くご愛用いただくためにも、まずはお気軽にご相談ください。
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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。
カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。
ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。