寿命何年?
少し前までは、カナルクラブではオーナーが高級時計を所有する期間は平均的に30年と想定していました。もちろん大雑把な認識でしたが、最近は40年、50年、60年そしてそれ以上。という認識です。“60年そしてそれ以上”というのは70年か?80年か?と訊かれるとちょっと困るのですが、何というか、線引きができないと思っています。
では永久か?と言われれば、最近は「そうです」と答えています。以前は、「部品がある限り」と答えていました。しかし今の世の中の進歩を見るとメーカーが部品を製造中止した後でも部品を作る技術がこれから益々大きく伸びてくるでしょう。もちろん現在の社外品のようなものではなくもっと精工なものです。更に言うと、もちろんこのような時計はオールドというよりアンティークなので全体が へたっていますからそれに合わせて最も効果的な部品を作成することも重要でしょう。ただ、以前と同じものを突っ込んだでは済まないことも多くなっているはずです。
この問題を解決するのは“手”による部品の修理
社外品は時計の価値を下げます。部品修理は将来的に、むしろその時計の価値を上げることになると考えています。もちろん名手による部品作成も価値は落ちません。将来、時間が経てば経つほど適切な部品修理、部品作成が必要になってきます。なぜかというと、機械式高級時計には人間の感覚・感情が特別な地位を与えているからです。その原則に反したものは、すべてマイナスと言えるでしょう。いくら論理的に正しく、精工な社外品が出来たとしても通用しません。カナルクラブではそろそろその分野も追及していく時期が来たと考えています。今まで部品入手不可としてご返却させていただいたものも直せる日が遠からず帰そうです。
もちろん純正部品が入手できる間はそれを使うのが最も正しく、効率的な選択です