あなたが今持っている時計あるいは、もう手放してしまった時計があるなら、
その一本を初めて手にしたとき、どんな気持ちだったでしょうか。
高価だけれど、どうしても欲しかった。
大人として、時計くらいは身につけていないと、と自分に言い聞かせて選んだ。
あるいは、偶然出会って、なんとなく手元に置きたくなった――
人それぞれ、動機も理由もきっと違うはずです。
あのとき、なぜ“その一本”を選んだのか?
価格、ブランド、デザイン、憧れの物語……
「どうしても欲しい」と思った衝動も、
「これくらいは身につけていないと」と理性で選んだ静かな覚悟も、
すべてがあなたの“人生のページ”に静かに刻まれています。
時が経つにつれて、あの熱が薄れてしまったかもしれません。
いつの間にかクローゼットの奥、気がつけばもう手放してしまっていた――
そんな時計も、きっとあるでしょう。
けれど、その“飽きた”という気持ちの中にも、今の自分が見失いかけていた「はじまりの感情」が
そっと眠っているのかもしれません。
ふと時計に目を向け、
「どうして自分はこれを選んだのだろう?」と問い直してみてください。
あの日の自分がどんな夢を見ていたのか、
どんな希望や寂しさ、誇りを抱えていたのか――
思い出すだけで、時計はまた違った表情を見せてくれるはずです。
もし飽きてしまったなら、
“飽きた”その気持ちの奥に、新しい物語のタネが隠れていないか、
ほんの少しだけ自分の心に耳を澄ませてみてください。
時計とは、過去の自分と今の自分を結ぶ小さな橋。
ときには立ち止まり、
その橋の上で静かに自分自身を見つめ直すこと――
それが、また新しい“時の悦び”を連れてきてくれるかもしれません。
そして
時計の動機と変化を見つめ直すことは、
“今の自分”をもっと深く知るための小さな旅。
その旅路を、どうぞ大切に。

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