時計内部には、部品同士が滑らかに協調しながら動作できるよう、また時計の精度を上げるためにオイルが注してあります。オイルが劣化すると部品に負荷がかかり、遅れる傾向がありますが、案外正確に時計が動くことも多いです。つまり負荷がかかっても動くということはゼンマイが強い力で無理に動かしているということです。

 

オイルの劣化は34年で起こる

3年から4年でオイルは劣化してしまいます。ただ、それだけでは時計は動き続けます。(結果的に正常に見えるだけで、時計内部は良い状態ではありません)だから、長年メンテナンスをしないで放っておく方が結構沢山いらっしゃいます。クォーツの場合は弱い力で軽く動くのでそれほど部品が摩耗してしまうことはありませんが、ゼンマイ駆動の時計は強い力で動かしているので傷みます。コンディションの悪い状態で、時計を使えば使うほどダメージは深刻になっていきます。

ゼンマイが切れると

ゼンマイが切れると、まだオイルやゴムパッキンの劣化がないのに止まってしまいます。ゼンマイはいつ切れるという目安がないので、オーバーホール後、数か月で切れてしまうこともあれば、20年以上ももつこともあります。

25年正確に(?)動いていたのでオーバーホールはしたことがない、というオーナーの方もいらっしゃるのですが、その時計は歯車などは摩耗、サビで決定的なダメージを負っているでしょう。直すことは可能ですが、多くの部品交換が必要になりそうです。

つまり時計にはこのような特徴があるので、現在正確に動いているというのはメンテナンス=オーバーホールのタイミングを決定する判断基準にはなりません。あくまでも前回オーバーホールから経過した年数で判断します。

カナルクラブでは、3年から4年、遅くとも5年でメンテナンス=オーバーホールが大切であることをこれからもお伝えしていきます。

 

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