時計の劣化について6回に分けて書いていきます。
文字盤、針について
まず文字盤や針についてです。アンティークショップに行くと、文字盤や針が変色したり腐食したりしている時計に出会えます。これらのいくつかは変色が味に感じられますが、いくつかは欠点と感じるでしょう。この2つは時計の外装部品の中では最も繊細な作りをしています。(時計ではムーブメント以外の部分を外装部品といいます)
両方とも金属部分がピカピカに鏡面仕上げされていたり、色は良いもののキズ付きやすい塗料が剥き出しで塗布されています。そして夜光塗料付きのものは、まずここが変色します。環境悪い場合、色や表面の変化が急激で、「何があったのだろう?」と思ってしまうでしょう。
実際、何かが起こったケースが大半です。それに比べ徐々に老化が進んだ場合は色、表面の状態の変化も柔らかいもので、良い年の取り方をしていると感じます。再販の際にも評価はマイナスになり難いでしょう。
ここでは、“急激な劣化”をしない方法を書くことにします。
文字盤・針の急激な劣化は多くの水が原因
そうです!!とにかく水分です!
水分が侵入する原因は、
- 規定以上の水圧がかかった
- リューズなどの閉め忘れ
- ゴムパッキンの劣化、
- 裏ブタの腐食
- ガラスの割れ
等が考えられます。
3、4、5については全てメンテナンス時の防水テストで発覚します。ただ、1、2についてはオーナーに理解していただき気を付けてもらうしかありませんが。それではこれらすべてが合格なら変色などは起こらないのか?実は起こります。
時計の中には空気が存在しますが、それは我々が生活している環境と同じものであること、そして、時計の防水性能は完璧ではないことが原因です。
では時計を洗濯機などに入れてしまった場合どうするか?(ロレックスやオメガシーマスターでも水が浸入してしまうケースがあります)こういうときはなるべく早くオーバーホールするしかありません。間に合えば変色は免れます(-。-;
緩やかに老化させるには・・・
時計内部にもともとある水分だけですと緩やかな老化をするはずです。パッキンの劣化を時間で考える(有効なのは最大で5年まで)ということは最低でも5年までのメンテナンスが必要ということになります。
汚れは特にリューズの内側、ボタンの内側、更には裏ブタの内側を腐食させます。このような部品が劣化すると、もちろん防水性能は落ちます。つまりここでもメンテナンス=オーバーホールの重要性がご理解いただけるでしょう。よほど使用頻度が少ない場合を除いて、日常使用に耐える状態にしておくためにも超長期間、時計を良い状態で維持していくためにもメンテナンス=オーバーホールは必要です。