最近の時計の風防はほとんどサファイアガラス製ですが、以前はプラスチック製、ミネラルガラス製が主でした。例えば、ロレックスは1980年代にリファレンスナンバーが1601 16014 まではプラスチック風防。そして次の世代16234からサファイアガラス仕様に変わっていきます。もちろんそれからずっと、116234なども、その後にできたモデルもサファイアガラスです。

上写真は、プラスティック風防ですが、真横から見た時に少し凹っと山ができています。それに比べて下写真、サファイア硝子は平でケースと一体感が増しています。

一方オメガもほとんどのモデルでサファイアガラスを装着していますがこちらは人気のスピードマスタープロフェッショナルを生産しつづけているので今でもプラスチック風防を使い続けています。

プラスティック風防からサファイア硝子へ

なぜ、プラスチック製からサファイアガラス製に変わったのでしょう?一つにはサファイアガラスにはキズが付きにくいという優れた特徴があります。ただ、サファイアガラスは硬度が凄く高く、キズはつきにくいのですが、割れたり、欠けたりはします。

特にロレックスのサファイアガラスの縁の部分は鋭角なので、オメガシーマスターなどの緩やかなカーブを描いたものより、欠ける可能性は高いです。割と細かい欠けがある時計は多いものです。

またサファイアガラスの時計、比較的最近のオメガシーマスター、スピードマスター、 ロレックスデイトジャストなどのオーナ-が時計を落としたらサファイアガラスが割れた、と修理が持ち込まれます。「サファイアガラスは割れない」と思っている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。ダイヤモンドと同じで、硬度の高い物質はキズがつきにくいが、割れることはあります。

それに比べてプラスチック風防は、キズはつきにくいのですが、案外割れにくいです。相当前の話ですが、英語の時計部品カタログにunbreakable glassと表記されていたくらいです。

もう一つの特徴として、サファイアガラスは衝撃を与えなければほとんど永久に変質しませんが、プラスチック風防は数十年で劣化します。小じわのように無数の線(ヒビ)が入り、ボロボロになります。実際、真っ白に変色して文字盤すらはっきりと見えないなんて時計も預かりますから。

1980年代にロレックスがサファイアガラスを採用したとき、フラットなてっぺんの部分に違和感を感じたものですが、今は当たり前の感覚です。ただやっぱりオメガスピードマスタープロフェッショナルのプラスチック風防がフラットなサファイアガラスに変更になったらファンにとっては残念ですよね。

プラスチック風防をサファイアガラスに換える、または逆にサファイアガラスをプラスチック風防に換えたいというお客様がたまにいらっしゃいますが、それは構造が違うからできかねますのでご了承を・・・。

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