腕時計のゴムパッキン交換頻度の目安

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“ガラスの内側が曇った”という修理依頼が寄せられることがあります。一時的な曇りであれば、時計内外の気温差によって発生しているとも考えられるでしょう。しかし、ゴムパッキンの劣化による防水性能の低下で、時計内部に水分が侵入している場合もあるのです。

ガラスが曇る現象は、気温の変化が起こりやすい季節の変わり目に急に発生するわけではありません。実際には、以前からゴムパッキンが劣化していた可能性があります。

適切なタイミングでゴムパッキンを交換し、定期的なメンテナンスをおこなうことで、時計の性能を維持しましょう。

ゴムパッキンは最大5年までしかもたない

時計内部に使用されるゴムパッキンは、約5年ほどで劣化するのをご存知でしたでしょうか。この劣化により、水分が時計内部に侵入しやすくなる恐れがあります。特に夏季は、汗や水しぶきがゴムパッキンを通し、時計内部に侵入する可能性が高いです。

また、ガラス内部の一時的な曇りが解消されたとしても、時計内部の水分によってサビやダメージが生じる可能性があります。特に、次のような使用方法はゴムパッキンの劣化を早めるため、注意が必要です。

  • 濡れたままの時計を放置する
  • 時計をしたまま入浴やサウナに入る
  • 海水浴やプールで時計を装着し、自然乾燥させる

雨や海水に濡れたあとや、蛇口からの水しぶきで濡れたままの放置も、時計の劣化を早めます。時計の汚れは水で洗い流し、濡れた時計は拭いて乾かしましょう。

ゴムパッキンの経過年数とトラブル

防水時計にはガラス、裏ぶた、リューズ、ボタンにゴムパッキンが組み込まれ、内部の機械を浸水から守る仕組みとなっています。

外装部品の劣化に関しては、使用すればするほどに傷がついたり、劣化することもありますよね。しかし、ゴムパッキンにおいては、使用頻度に関わらず自然に劣化します。

メンテナンスが不十分で劣化したゴムパッキンの時計は、水や汗が内部に浸入しやすい状態です。そのまま放置すると、パーツの劣化や変色、腐食の可能性があり、故障の原因となります。

■3年経過

ゴムパッキンの劣化が始まる時期。3年ごとのオーバーホールにより、時計の精度を維持し、余分なコストをかけずにメンテナンスできます。

■5年経過

潤滑油の劣化やトラブルが発生しやすくなる時期。ゴムパッキンの劣化により水分の侵入リスクが高まり、サビや腐食の原因となります。

■7年経過

潤滑油やゴムパッキンの劣化が進行し、トラブルが発生しやすくなる時期。部品の交換が必要なケースも増え、コストの負担が大きくなります。

リューズとボタンの保護はオーバーホールのコストダウンにつながる

ねじ込み式リューズは、内部のゴムパッキンによって防水性を保っています。水や汗はリューズ内部まで侵入しますが、ゴムパッキンの状態が良好な場合は、時計内部に届く心配はありません。

ねじ込み式リューズは高い防水性をもつ反面、リューズを締める際の力がゴムパッキンにストレスをかけ、早期の劣化を招きやすいのが弱点です。ゴムパッキンが劣化すると、時計内部に水分が浸入し、リューズの内側に汗の油分が残ります。

この油分が原因となって、内部のステンレス部分を腐食させる可能性も否定できません。また、リューズやクロノグラフのボタンが破損すると、高額な修理代がかかる場合もあります。

オーバーホールでは時計のパーツをすべて分解、洗浄するため、早期の対処でステンレスの腐食の発見、予防が可能です。時計のパーツの状態が心配なかたや、メンテナンスをご希望のかたは、ご相談・お見積りをご検討ください。

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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。

カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。

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