何を基準にオーバーホールのタイミングを決めるか?

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前回のオーバーホールからの期間で判断する

腕時計のオーバーホールは、とても大切なメンテナンスの手段です。車のように法律で定期メンテナンス(車検)を義務付けられている訳ではありませんが、非常に重要なものです。定期メンテナンスは部品と時計の機能を守るために行うものです。ノーメンテナンス状態では機能不良や部品の破損が発生してしまいます。

大切な腕時計が壊れてしまわないように、メンテナンスをしなければなりません。しかし、メンテナンス=オーバーホールを依頼するタイミングの判断が難しく、長期間が経過するうちにダメージが大きくなり、多くの部品や高額部品が破損してしまうというケースが多く見られます。

ではどのようなタイミングが良いのでしょうか?

基本的には部品に注してあるオイルの劣化、ゴムパッキンの劣化が出てくる時期がメンテナンスのタイミングです。劣化の時期は、オイルは3年から4年、ゴムパッキンは4年くらいと言われています(時計を使用しなくても劣化します)。したがって3年から4年ごとのメンテナンスがベストのタイミングといえるでしょう。

時計を10年オーバーホールしていないのに時間が正確だ、ということも実際にあるのですが、偶然によるものです。オイルの劣化や、それとほぼ同じ時期に起こるゴムパッキンの劣化によるサビの発生は内部の負荷が大きくなるので時計は遅れます。逆にパソコン・携帯電話・テレビなどの磁気は時計(オートマチックや手巻きの場合)を進ませます。それがちょうど良い具合に働き、時間の精度を偶然保たせてることがあります。ただし時計内部の状態としては、Bad Condition ということになります。そのまま使用し続けると部品を破損させてしまう可能性があります。

部品が破損すると時計は止まるという認識の方も多いかと思いますが、ゼンマイに問題が発生しない限り時計は動き続けます。動き続ける事によって、時計のダメージが大きくなってしまうケースも多く見受けられます。手遅れになる前に適切なタイミングでの、オーバーホールが大切です。一般的な目安として3年から4年、最低でも5年に一度のメンテナンス = オーバーホールをお勧めします。

第二のオーバーホールの目的
リューズ・ボタン、さらにケースなどの外装部品を守る

昔から時計のオーバーホールについて語る時、部品に注してあるオイルの劣化について語られることが多かったのですが、これは主に内装部品(歯車など)の摩耗、ゴムパッキンの劣化によるサビの発生についての対処ということになります。

長年メンテナンスをしないと、もう一つ心配があります。リューズ・ボタン・ケースなどの外装部品の劣化です。メンテナンスの費用について、外装部品の破損がある場合、修理代が高額になってしまうケースが多くあります。外装部品の破損は、落下などのショック(これは気を付けていただくしかありません)などの物理的な原因と、もう一つ化学的な原因があります。

ステンレス製のリューズ・ボタン・ケースの内側についた汗の脂分などを長期間放っておくと、部品の腐食がはじまります。この腐食が限界を超えると交換が必要となり修理代は高額になります。これを防ぐためにはやはり最低5年までのメンテナンス = オーバーホールが必要になります。

オーバーホール時に、外装部品も丁寧に洗浄をして、より良い状態に戻します。これは次回のオーバーホールというより、20年後を見据えたメンテナンスと言えるでしょう。

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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。

カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。

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