腕時計のオーバーホールで防水機能を回復させるには

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腕時計の防水性には期限がある

大昔の腕時計は全て「非防水」です。昔の腕時計は半年、または3か月ごとのメンテナンスが必要だったかもしれません。さらに、初期の腕時計は家と同じくらい高価なものだったため、雨や少しの汗でも心配に思ったことでしょう。

その後、防塵、つまり塵(ちり)を防ぐ「防塵時計」ができました。水の分子(H₂O)より大きな塵(ちり)の侵入を防ぐことができます。そして、次に誕生したのが水の侵入を防ぐことができる「防水時計」です。

基本的に防水は、パッキンによって可能になります。ゴムパッキンは4年くらいで劣化すると言われており、“パッキンが良い状態であること”が防水の条件です。

時計の防水性能は基本的にパッキン頼りです。パッキンが劣化すると、防水性能は当然落ちます。時計の金属部分に全く問題が無いとしても、パッキンが劣化すると防水性は無くなります。金属部分、特にリューズ、ボタン、裏ブタなどの腐食が大きいと、パッキンを交換しても防水性能が回復しない可能性があります。その場合、腐食した部品を交換することが必要となります。

長期間メンテナンス(=オーバーホール)をされていない時計ですと、心配な状態となっていることが予想されます。内部のサビも発生しているでしょう。

高級時計は良質なステンレスで作られていますが、やはり“ノーメンテナンスには弱い”という弱点があります。汗に含まれる脂分や汚れなどによって、ステンレス部分に酸化被膜ができない状態となり腐食するといわれています。ステンレス部分の劣化を避ける方法はひとつ、「オーバーホール時の洗浄」です。定期的なメンテナンスが必要であることがおわかりいただけると思います。

防水性能を回復させることの重要性

オーバーホール時には、洗浄可能な部品を全てばらし、洗浄します。内部の部品だけでなく、外装部品、つまりケース、リューズ、ボタンなども洗浄します。文字盤など洗浄できない部品以外は全て洗浄するのです。部品の洗浄作業をすることで、ステンレス部分の腐食をストップすることができます。もちろんゴムパッキンの交換を行いますので、防水性能もよみがえります。

本来は防水の能力が高い腕時計だとしても、定期的にオーバーホールをしていなければ、非防水時計になってしまいます。また、いかに金属部分(ステンレス部分)が良い状態でも、ゴムパッキンが劣化すると防水性能は無効となります。

大切な腕時計を購入後いつまでも使い続けられるように、定期的なメンテナンスをお薦めします。

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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。

カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。

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