最近は金の高騰によって金を売買する話をよく耳にします。さて、時計はどうでしょうか・・・
カナルクラブにお見えになった方との会話で「この時計、投資になりますか?」「売ったらいくらになりますか?」がございます。確かに時計市場の相場が上がっていますし、人気モデルは抽選販売やまして中古価格は定価を超えているにが現実です。そうした状況を見れば、高級時計を「投資対象」として考えたくなる気持ちは、とても自然なものだと思います。ただ、Canal Clubで日々時計を見ていると、この問いにはもう少し丁寧な分解が必要だと感じています。
生活の時計
まず一つ目は、生活の時計。
仕事中に作業ペースを確認する為に時計をみる。通勤等の移動時間を確認する為に時計をみる。生活の流れを時計を見ながら進めていく。一つ一つは特別な行為ではありませんけれど、その「当たり前」を受け止め続けられる設計と耐久性がある。このタイプの時計は、修理の現場ではとても分かりやすい存在です。とてもシンプルな形状と機能の時計が多いでしょう。価値は、価格表ではなく、関係性の中で更新されていきます。
投資の時計
もう一つが、投資の時計。こちらは、「使う」よりも「保つ」ことが優先されます。なるべく購入当時の状態を崩さない。箱や付属品を完璧に保つ。傷などもつけないよう注意を払う。こういった時計は、時間を刻む道具というより、価値を保持する物体として扱われます。この選択自体が悪いわけではありません。実際、市場価格が上がり、結果として大きな価値を生む時計もあります。
ただし、このタイプの時計は、修理の現場にはほとんど現れません。止まっても、すぐに直されないことが多い。「使われないから壊れない」
そう思われがちですが、内部では静かに環境が変化していきます。
二つの時計は、どちらが正しいのか
生活の時計。
投資の時計。
ここではどちらが正しい、という話ではありません。
大切なのは、自分がどちらの時計を持っているのかを、自覚していることです。
- 生活の時計を、投資だと思い込まない
- 投資の時計に、生活を任せようとしない
このズレが起きたとき、時計との関係は少しずつ歪んでいきます。
Canal Clubが見ているもの
Canal Clubが日々見ているのは、価格の上下ではありません。
- どんな時計が、最後まで残るのか
- どんな時計が、また直されて戻ってくるのか
そこには、市場とは別のロジックが存在しています。
それは、人の生活と時間の構造です。
二本の柱として
これから Canal Club では、
この二つをはっきり分けて語っていこうと思います。
お持ちの時計が生活の時計なのかそれとも投資の時計なのか・・
その二つは、同じ高級時計でも、流れの異なる位相にあります。時計を通して感じる“世界の構造”。
その裏側を、私たちは日々の観察と修理で見ています。
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