時計の価値が180度変わった日

時計にある程度詳しい方なら聞いたことがあるかもしれませんがアンクル(アンカー)という部品があります。このアンクルは時計の脱進器(エスケープメント)という範疇のものですがアンドー芯を離れアンクルを採用していく流れの中で時計は大きく方向性を変え、進化しました。アンドー芯はアンクルが発明される前の労作です。時代で言うと17世紀から18世紀(懐中時計)が中心でした。腕時計が広まったのは20世紀になってからですが、アンドー芯時代は精度も悪く、非常に壊れやすいものでした。腕時計の発達にはアンクルの発明が必須だったようです。時計の精度、耐久性が大きく貢献しています。

       

アンドー芯時代の時計

アンドー芯時代の時計はケース・ブレスレット・文字盤・針などの外装に非常に凝ったデザインが与えられています。ケースは精密な彫りがあるものが多くありました。つまり装飾的な価値を付加価値としていましたその時代の時計は非常に高価で家と同じ位の値段だったという記述を読んだことがあります。残念ながらアンドー芯の画像は見つけられませんでした・・・。

アンドー芯が使われていた時代、時計は非常に高価なものであり、所有することは富と権力の象徴でした。時計職人の手によって一つ一つ丁寧に作られた時計は、その精巧な作り込みから芸術品として扱われ、人々の憧れの対象となっていました。時計を持つことは、単に時間を確認するだけでなく、社会的な地位を確立するための重要な要素の一つでもあったのです。

  

アンクルの発明によって時計の価値は180°変わった

そしてアンクルの発明により本気で精度を追求できる可能性ができたことで、時計の価値そのものが変わったといえるでしょう。

  

アンクルの発明と時計の大衆化 

アンクルの発明による、精度の向上により、道具としての価値が飛躍的に上がりました。また第一次大戦で飛行機乗りが腕時計を使用したことによりその便利さが認識されるようになります。製造の際に時計師の個人の技量より精度の高い部品を作れば良いということになり量産体制が整っていきます。ここで時計の大衆化が始まったことになります。時計の大衆化は社会にも大きな影響を与えました。人々は、より正確な時間に合わせて生活するようになり、社会全体が効率化されていきます。また、時計はファッションアイテムとしても定着し、人々の個性やスタイルを表現するツールとしても活用されるようになりました。そしてだんだん必需品となっていきます。

 

 

現代の時計が私たちに問いかけるもの

 そして現在、精度についてはクォーツに全くかなわない機械式時計が価値を持ち続けています。これは初期のアンドー芯の時代からだんだん機械としての期待を込めて進化した時計のそれでもまだ単なる道具としてでなく嗜好品(贅沢品)としての時計に対する期待が込められています。そして現代、人気のあるモデルは、ほぼ機能美追及により創造されたデザインと言えます。(ロレックス・オメガスピードマスター、シーマスターなど)これが時計の廃れることが無い人気(必要性)の秘密と言えます

時計は、単なる時間計測器を超えて、社会や文化を映し出す鏡のような存在です。アンドー芯の時代から現代に至るまで、時計は常に人々の生活に寄り添い、その進化は社会の変化を物語っています。時計を通して、私たちは過去と未来を繋ぎ、自分自身の生き方を見つめ直すことができるでしょう。

    タグホイヤー・フォーミュラ

同じカテゴリの記事

愛着が深まる  スピードマスターのΩマーク物語

オメガ スピードマスター などのプラスチック風防仕様をお持ちの皆様、ご ...

カナルクラブから

READ

腕時計は家と同じ値段だった!?

時計の価値が180度変わった日 時計にある程度詳しい方なら聞いたことが ...

カナルクラブから

READ

特殊性と大衆性を併せ持つロレックス人気の秘密

ロレックス、なぜこんなに人気なのか? 街を歩けば必ずと言っていいほど見 ...

未来から見たあなたの時計 カナルクラブから

READ

CATEGORY

SEARCH

ARCHIVES

MESSAGE

当ブログでは皆さんに時計に関してのあらゆるお話ができたらと思いますので宜しくお願いします!

施工事例や時計に関するよもやま話などホームページ内ではお伝えしきれなかった内容も書かせていただきますのでぜひご覧下さい。

高級時計修理工房
カナルクラブ