ゼンマイが切れるタイミングとは・・・
部品に注してあるオイルまたゴムパッキンはある一定時間が経過すると劣化します。しかしゼンマイ切れについては全くと言って良いほどいつ切れるかの予想がつきません。20年以上もつこともありますし、わずか数年で切れてしまうこともあります。「使用の仕方に問題があったのでしょうか」と悩まれる方もいらっしゃいます。手巻き時計のゼンマイは、ゼンマイが全部巻き上がるとそれ以上巻けないよう、巻きどまりがございますので、それ以上を乱暴に巻き上げると、それは勿論切れてしまいます。しかし、自動巻き(オートマチック)のゼンマイは手巻き時計のゼンマイとは違い、ゼンマイが全て巻き上がるとゼンマイがスリップし、それ以上は巻きあげることはできなくなっています。ですから、巻きすぎて切れてしまうといったことはありません。そもそも、それぞれの時計は仕組みが異なる為、ご自身の時計がどちらかを理解して頂くことが重要です。
ところで、「調子が良いのでまだオーバーホールしなくてイイ」というのは危険な考え方です。時計のダメージ、つまり部品のダメージについて言えば、時計の調子が良いか悪いかは関係ありません。悪い状態を放っておくことで、たとえその時精度が良くても、持続時間が長くても、キズがほとんど無いように見えても結局は時計は傷んでしまいます。こうなるとメンテナンス、修理は多くの部品交換が必要となったり、または高額部品の交換が必要になります。
ゼンマイ切れが時計を救うこともある
貴方の時計がゼンマイが切れてしまい、しょうがなくオーバーホールすることになったとします。これはオーバーホールによって、他の部品の劣化を止める結果になったと言えるでしょう。「そろそろオーバーホールしなきゃ」、と思いながら実行しなかったあなたの重い腰を押してくれたのですから、これはむしろ感謝すべきかもしれません。