この度は、カナルクラブへのメンテナンスをご依頼いただきありがとうございました。
ここで今後のご使用に際して注意していただきたい点について書かせていただきます。
このご使用方法ですと、日々の習慣を少し変えるだけで時計の寿命は圧倒的に延びます。オーナーの方にとって今後のメンテナンスも非常にご負担の軽いものになるでしょう。
これらは一般的にあまり知られていない内容を含みます。
この新しい習慣でカナルクラブの“理想的なメンテナンス”は実現します。

次回メンテナンス時までに

高額部品を守る3つのポイント

★ まずその前に


オートマチックの時計の使い方の大前提であり、そして基本中の基本である「ゼンマイをリューズでゆっくり巻く」を説明します。


まず動画をご覧ください。
全体で1分58秒かかるのですが、ただ巻いているだけの動画なので全部ご覧にならなくても結構です。(巻く回数は、時計が止まっているときは40から50回ほどです。これでゼンマイは全巻き状態になり、時計の精度は一番良い状態になります)

ゼンマイはリューズを回して巻くのが基本です。
動画のように正しい巻き方を守りリューズで巻く事で、様々なトラブルを防ぐことができます。

(動画の時計はリューズがネジ込み式なので最初にリューズネジをほどいていますが、通常の時計では最初からゼンマイを巻けます。)

★ ご覧いただけましたか?


オートマチック時計はゼンマイが全巻き(完全に巻けている状態)のときだけ、その時計の一番良い精度になります。

半巻きやほとんど巻けていないときは精度は乱れます。
時計を手で握って振り、ゼンマイを巻く方がかなりいらっしゃいます。
この巻き方ですと、ほとんどゼンマイは巻けないので、全巻きにするのはまず無理です。

そこで、動画のようにリューズを回して一気に全巻き状態にします。
後は歩いたり、仕事をなさったりする動きで、全巻き状態を保ちます。
つまりその時計の一番良い精度を保つということになります。

巻く回数は40回から50回ほどとしていますが、オールドウォッチ(製造から30~40年以上経過している時計)は40回ほどで良いでしょう。
またオートマチック時計の場合、ゼンマイは最後まで巻かれた後リューズを回してもスリップするようになっているので、巻きすぎで切れるということはありません。
また、特に油が劣化するオーバーホール後3年から4年以降は時計を手で振ると部品が傷みます。
つまり手で振るという方法には良いことが一つもありません。

ただし、ゼンマイを完全に巻かないと時計が壊れるということでは無いので時計が止まってしまったときだけ、リューズで全巻きにするというご使用方法で充分でしょう。 つまり一番重要なのは時計を手で握って振るという巻き方をしないことです。(この巻き方は時計を傷めてしまいます)

★ それではここから高額部品を壊さない3つのポイントです


ほんの少しの知識で守ることができる高額部品について述べます。
時計の部品の破損は生活習慣病のようなものなので、悪い習慣さえ変えれば、防ぐことが出来ます。

高額部品を守る3つのポイントとは

  • リューズ、ボタンを守る
  • ローター芯を守る
  • カレンダー早送りの安全な方法

1. リューズ・ボタンを守る (汗の脂分が腐食を誘うことを意識する)
2. ローター芯を守る (オートマチックの回転オモリの中心部のローター芯がショックに弱いことを意識する)
3. カレンダー早送りはかならず危険時間帯を避ける (100%安全な方法がある)


これだけ意識していただければ、次回メンテナンス=オーバーホールがリーズナブルな金額になる可能性が圧倒的に上がります。

時計の大きなダメージは生活習慣病のようなものです。

ほんの少し習慣を変えるだけで、高額部品を守ることができます。

リューズ、ボタンを守る

リューズが破損した場合、オーバーホール代金は高額になってしまいます。
リューズ、ボタンを守ることがリーズナブルなメンテナンスの第一条件です。

(腐食したロレックスのチューブ。リューズの内側にも同じようなことが起こっています。)

水分が図の水色の部分に侵入してもゴムパッキンが劣化していなければ、防水性は保てます。
しかし、汗が入った場合には、脂分を残し、徐々に内側のステンレス部分を腐食させ、修理代を高額にしてしまいます。そのような事態を避けるには、定期的なメンテナンス、特に最低5年までのオーバーホールが効果的です。
またこれはクロノグラフのボタンについても言えます。

ローター芯を守る

どのブランドのものもローター芯は高額部品であり、破損すると修理代を高額にしてしまいます。
ローター芯を守ること、それがリーズナブルなメンテナンスを実現する第二条件です。

ロレックスの場合、ローターの直径は28mm前後ですが、ローター芯の最も細い部分は0.7mm〜1mmほどしかありません。

オートマチック時計は、このローターを回転させることでゼンマイを巻きます。

写真のように、重いローターがこの中心の細い芯だけで支えられており、負担をかけるとローター芯に大きな力が加わります。

落下や衝撃、またはゴルフなど、時計に急な負担のかかるスポーツをされる際には時計を外すことをおすすめします。
また、油が劣化し始める最後のオーバーホールから3年目から4年目以降は、ローター芯の摩耗を防ぐため、ゼンマイを巻く際は時計を手で振るのではなく、リューズを回して巻く事でローター芯の摩耗を防ぎます。

カレンダー早送りの安全な方法

時計は夜中の12時に、自動的にカレンダーが変わります。 夜中の12時の数時間前、そして12時の数時間後までがカレンダー早送り禁止ゾーンです。
ただ、時計の機種によってそのゾーンがまちまちであること、また、実際の時刻は昼の12時ごろなのに、時計内部の設定が夜の12事ごろになっている可能性を意識した、100%安全な方法を動画にしました。
なお、この動画の方法ですと、夜中の12時にカレンダーを早送りしても安全です。