高級時計は、精密機械であると同時に「使われること」を前提に設計されています。
そのため、日々の着用頻度が変わると、思わぬ不調が現れることがあります。
最近「しばらく着けていなかった時計の調子が悪い」「以前より精度が安定しない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、着用頻度の変化によって起きやすい時計の不調と、その背景について解説します。

着用頻度の変化が時計に与える影響
■ 動いていない時間が長くなることで起こる変化
機械式時計は、歯車やゼンマイ、潤滑油など多数の部品が連動して動いています。
着用頻度が下がり、長時間止まった状態が続くと、内部では以下のような変化が起こることがあります。
・潤滑油が偏る、または劣化が進む
・歯車の動きがスムーズでなくなる
・再始動時に精度が安定しにくくなる
これは故障というよりも、機械が本来のコンディションを維持できていない状態といえます。
■ 自動巻き時計に多い「巻き上げ不足」
着用頻度が減ると、自動巻き時計は十分にゼンマイが巻き上がらない状態になりがちです。その結果、
・日差が大きくなる
・パワーリザーブが短く感じる
・夜の間に止まってしまう
このような症状が出やすくなります。
これは内部不良ではなく、エネルギー不足による精度低下であるケースも少なくありません。
着けすぎ・使いすぎでも起こる注意点
■ 連続使用による負荷の蓄積
一方で、毎日長時間着用し続ける場合にも注意が必要です。
特に以下のような使用状況では、内部に負担がかかりやすくなります。
・衝撃や振動の多い環境での使用
・汗や湿気が多い状態での連続着用
・リューズ操作を頻繁に行う
こうした負荷が蓄積すると、部品の摩耗が進み、精度の低下や異音につながることがあります。
■ 「使っているのに調子が悪い」理由
「毎日着けているのに不調を感じる」という場合、
腕時計内部の潤滑油が劣化し、摩擦が増えている可能性も考えられます。
これは使用頻度が高い時計ほど起こりやすく、
定期的なオーバーホールが必要になるサインのひとつでもあります。
自動巻きは「巻き上げ効率の低下」に注意
自動巻き時計を使っている場合、冬に不調が出る原因のひとつがローターの動作です。
低温で潤滑油が粘りやすくなると、ローターの回転が鈍り、ゼンマイの巻き上げ効率が低下します。腕につけている時間が十分でも、夜間に止まりやすくなるのはこのためです。
とくにオーバーホールの時期が近い個体では、不調が一気に表面化することがあります。
「最近止まりやすくなった」「精度が安定しない」と感じた場合は、早めに点検を受けることをおすすめします。
年末前にチェックしておきたい項目は2つ
■ しばらく使わない場合の考え方
着用頻度が落ちる時期は、時計の状態を見直すよい機会でもあります。
・長時間放置する前に、状態を一度確認しておく。
・可能なら、定期的に軽く動かして状態を確認する
・違和感があれば無理に使い続けない
これだけでも、内部コンディションの悪化を防ぐことができます。
■ 不調を感じたら「様子見」と「相談」の判断を
精度の乱れや動作の違和感が続く場合は、
自己判断で使い続けるより、専門店で状態を確認することが重要です。
軽微な調整で済むケースもあれば、
オーバーホールのタイミングが近づいていることもあります。
時計の不調は使い方の変化がきっかけになる
今回は、着用頻度の変化によって起きやすい時計の不調について解説しました。
機械式時計は「動かすこと」で状態を保つ
使わなさすぎても、使いすぎても不調の原因になる
違和感を感じたら早めの確認が重要
高級時計を長くよい状態で使い続けるためには、
ライフスタイルの変化に合わせたメンテナンス意識が欠かせません。
カナルクラブは、御徒町で50年にわたり高級時計専門の修理を行ってきました。
豊富な経験をもとに、時計の状態を丁寧に見極め、最適なメンテナンスをご提案しています。
「この不調は修理が必要なのか分からない」そんな段階でも、ぜひ一度ご相談ください。
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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。
カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。
ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。




