一年の締めくくりが近づくにつれ、腕時計の使用シーンは増えていきます。
忘年会や仕事の最終調整、年始の準備など、いつも以上に腕時計を手にする機会が増える時期です。しかし、その一方で「年末に急なトラブルが起きやすい」のもこの季節の特徴です。
本記事では、年末に起こりやすい時計トラブルと、それを防ぐために “今のうちに” 見直しておきたいメンテナンス項目を解説します。
年末に時計トラブルが増える理由
冬の気温は、時計の精密な金属パーツに大きな負担をかけます。
金属は寒さで収縮するため、歯車や軸の動きにわずかな抵抗が生まれ、精度が乱れやすくなります。また、外出先から暖房の効いた室内に入ったときに発生する温度差は、ケース内部に結露を起こす原因にもなります。
さらに、内部で使われている潤滑油は低温環境で粘度が上がり、流動性が低くなります。これによって摩擦が増え、ローターの回転効率やカレンダー機構の動作に影響が出ることがあります。
“冬になると精度が落ちる”という相談が多いのは、こうした要因が重なるためです。
見落とされがちな「パッキン劣化」と気密性
冬場に特に気をつけたいのが、パッキンの状態です。
パッキンは湿気の侵入を防ぎ、防水性能を保つための重要なパーツですが、ゴム素材のため経年とともに硬化が進行します。乾燥しやすい冬はさらに硬くなりやすく、わずかな隙間から湿気が入り込む原因となることがあります。
これをそのままにしておくと、結露が発生して文字盤が曇るだけでなく、内部パーツに錆が生じ、修理が大がかりになる場合もあります。数年に一度はパッキンの状態を確認しておくと安心です。
自動巻きは「巻き上げ効率の低下」に注意
自動巻き時計を使っている場合、冬に不調が出る原因のひとつがローターの動作です。
低温で潤滑油が粘りやすくなると、ローターの回転が鈍り、ゼンマイの巻き上げ効率が低下します。腕につけている時間が十分でも、夜間に止まりやすくなるのはこのためです。
とくにオーバーホールの時期が近い個体では、不調が一気に表面化することがあります。
「最近止まりやすくなった」「精度が安定しない」と感じた場合は、早めに点検を受けることをおすすめします。
年末前にチェックしておきたい項目は2つ
年末のトラブルを避けるために、次の2点だけでも確認しておくと安心です。
- 精度の変化(進み・遅れの傾向)
- パッキンの状態と内部の気密性
この2つは時計の“健康状態”を判断する基本であり、不調の予兆を早期に察知するために効果的です。
カナルクラブは御徒町で50年以上、高級時計の修理を専門に行っています。
ロレックスやオメガなど、年間7,000件の修理を経験してきた技術者が、純正部品を使用しながら確かなメンテナンスをご提供します。
年末を迎える前に、一度お手持ちの時計のコンディションを見直してみてはいかがでしょうか。
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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。
カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。
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