
腕時計のオーバーホールとは、分解・清掃・再組み立てを行う作業です。腕時計は50〜200個もの部品で構成されており、各部品の動きをスムーズにしたり摩耗や劣化を防いだりするために、潤滑油が使用されます。
オイルの変質は、腕時計が止まる原因の一つです。オイルは、3〜4年で乾燥や汚れにより劣化します。さらに、長期不使用や直射日光、高温多湿、水濡れも、オイルや時計の劣化を早める要因です。オイルが劣化すると部品同士が摩耗し、放置すると動作不良や破損を招きます。そのため、オイルの変質時にオーバーホールすることが重要です。
注油の散布量
注油作業は、オイラーと呼ばれる専用工具を使い、針先にオイルをつけて部品に注油します。技術者は多くの種類のオイラーを使い分け、高精度の機械式ムーブメントには約50か所にオイルを注します。永久カレンダーのような複雑機構を持つモデルでは、潤滑箇所が約3倍になります。
潤滑油は適量を注す必要がありますが、その適量は数値で測るのが難しく、熟練した技術者の経験とノウハウに依存します。ルーペや顕微鏡を使いながら、注油する箇所や種類、量を判断します。
オイルの種類と使用箇所
腕時計には、粘度の異なるオイルを複数使用します。
■ 9504
重たいオイルで、香箱や巻き芯などに使用。-25℃~+100℃でも安定し、パーツが動くと液状、動かないと半グリース状に変化。
■ 9104
やや重たいオイルで、耐久性が高く、輪列や裏蓋などに使用。非金属にも使用可能で、-25℃~+100℃に対応。
■ 9010
液体に近い合成オイルで、小さな部品の目詰まりを防ぐ特性があり、4番車やガンギ車などに使用。
■ 9415
軽めのオイルで、脱進機やアンクルの潤滑に使用。液状と半グリース状に変化し、持続性が高い。
大切な腕時計のオーバーホールはカナルクラブにお任せください
潤滑油の量が多すぎても少なすぎても、時計の精度や動きに影響します。オイルの注す箇所、量、手順はある程度決まっていますが、状況に応じた適量の判断は経験豊富な職人にしかできません。大切な腕時計のオーバーホールは、高い技術を持つ修理技士がいる修理店を選びましょう。
カナルクラブは、東京都・御徒町で50年にわたり、高級腕時計の修理・オーバーホールに携わっております。ご依頼の際は、ご相談・お見積もりフォームにてお気軽にご連絡ください。
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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。
カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。
ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。