腕時計のガラスに傷がついたときの対応

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腕時計のガラス(=風防)についた傷。「年季」や「味わい」とも捉えられますが、傷がついて見栄えが悪くなったり、視認性が低下するのは気になるところ。目立たないと思って放置した傷が原因で、内部に水分が侵入してガラスが曇ったり、部品にサビができたりする場合もあります。
「小さな傷なら、自分で磨いて落とせるだろう」とお考えになる方もいらっしゃいますが、風防の素材や傷の状態によっては磨けないものもあり、対応が異なります。

https://watch.ne.jp/column/腕時計のガラスに傷がついたときの対応/

風防の素材と傷への対応

■アクリルガラス
アクリルガラスは厳密に言えばプラスチックです。現在でも一部ブランドにおいて風防の素材として採用されていますが、ガラス素材が普及する以前の1940年代〜1960年代頃によく使用されていました。別名は「プラスチック風防」、「アクリル風防」、「有機ガラス」、「プレキシガラス」。傷つきやすく衝撃に弱いですが、中心を盛り上げたドーム状にすることで強度が高まり割れにくくなっています。
また、安価で加工しやすく、軽量であるのがアクリルガラスの特徴。微細な傷ができてしまったときにご自身で研磨し、傷取りできる可能性があるのはこのアクリルガラスのみですが、アンティークウォッチではオリジナリティが重要視される傾向にあるため安易な研磨はお勧めできません。ガラスが薄く、一度傷つくと大きなひび割れに繋がりやすいため、こまめなメンテナンスも必要です。
 

■ミネラルガラス
「無機ガラス」、「ハードレックス」、「クリスタルガラス」とも呼ばれています。1970年代頃から風防として用いられるようになりましたが、近年では高級腕時計にはあまり採用されなくなりました。アクリルガラスと比べて明度や強度が優れており、後述のサファイアガラスに比べると軽量ですが傷つきやすい素材です。
加工が比較的容易とされる素材ではあるものの、基本的にガラス素材の傷は研磨で落とせません。修理業者に依頼した場合、微細な傷であれば研磨することもありますが、交換での対応になることもあります。ご自身での研磨は傷を広げる可能性もあるため、気になる方は修理店に相談しましょう。
 

■サファイアガラス
「サファイアクリスタル」「サファイアクリスタルガラス」とも言われています。名前にもあるようにサファイアを使用しており、ダイヤモンドに次ぐ高度とされ、腕時計に使用されるガラスのなかで最も硬く傷つきにくいのが最大の特徴です。高級腕時計では、ほとんどのブランドが採用しています。
デメリットは、加工が難しく高価な素材である点。表面硬度は高いものの、素材の粘度が低いために損傷する場合があります。この場合は傷を磨けないため、交換での対応になります。

風防の傷が気になる際はカナルクラブへ

ロレックスの画像

傷を落とそうと無理に研磨を続けると、その部分だけ凹んでしまい見た目が悪化したり、耐久性や防水性の劣化にも繋がります。ご自身で研磨されるのは微細な傷にとどめ、決して磨き続けようとせず、カナルクラブにご相談ください。

大切な腕時計を永くご愛用いただくためにも、経験豊富な技術者にメンテナンスをご依頼されることをおすすめいたします。高級腕時計のメンテナンス、オーバーホールは年間7000件の修理実績を誇る高度な技術力と適正価格のカナルクラブにお任せください。

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