腕時計のオーバーホールの工程について

どのような作業をするのか

大切な腕時計は定期的にメンテナンスをして、正常な状態を維持しましょう。

オーバーホールというメンテナンスがありますが、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、言葉だけ聞いたことがあってもどのような作業をするのか知らない人もいるはずです。大切な腕時計を人に預けることになるため、どのような工程でメンテナンスをしていくのか知った上で依頼してください。どの職人に任せても作業工程はほとんど同じです。

まずは、状態確認をします。
機械式の場合、使い続けていくうちに内部の油が切れたり、劣化したりするため、精度が悪くなりやすいです。
どのような不具合が起きているのかを確認したら、外して汚れのチェックをし、次にオープナーという専門道具を使って裏蓋を開けて内部の状態を確認します。そして、ムーブメントを取り出して文字盤や針などのパーツを取り出していきますが、最後は元に組み立て直していかなければならないため、パーツの紛失や取り外す手順を忘れないように慎重に取り掛かからなければなりません。

正確さとスピードが求められる

全ての部品を分解したらそれぞれを洗浄していきます。洗浄には超音波洗浄機が用いられることが多いです。
パーツをバスケットに入れて、薬品を使ってこびりついた古い汚れや油を超音波で洗浄、リンス、すすぎをして洗い流していきます。
最後はヒーターで乾燥させますが、洗浄機を使っても落ちなかった汚れは職人の手で丁寧に取り除いていくため、汚れが残ることはありません。
部品を綺麗にしたらムーブメントの組み立てをしていきます。ルーペで細かい部分まで確認しながら丁寧に組み上げていきますが、部品は100にも及ぶため正確さとスピードが求められます。これは技術と知識がなければできない作業でしょう。
組み立てたら部品によって異なるオイルを注油し、テンプを取り付けてネジを締め、ムーブメントを完成させます。
再度歩度調整、針の取り付け、時間の刻み方をテストしてオーバーホールの完了です。
このようにオーバーホールでは様々な工程を踏んでいかなければなりません。しばらく腕時計のメンテナンスをしていなかったという人は依頼してみてはいかがでしょうか。