オーバーホール時の注油は技術者にとって最大の難関  

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オイルは一種類ではない

腕時計のメンテナンスに、オーバーホールというものがあります。依頼したことがある方もいるのではないでしょうか。まだ依頼したことがないという人は、腕時計の状態が悪くなる前にオーバーホールすることをお勧めします。

オーバーホールは、分解できるところまでパーツを取り外して綺麗に洗浄し、注油をしてから再び組み立てていく作業です。注油は、パーツ同士が擦れて劣化するのを防ぐための大切な工程ですが、その際に使われるオイルにはいくつかの種類があります。グリースと呼ばれるものから、さらさらしたもの、粘度があるオイルなど、ひとつの時計あたり4、5種類のオイルを使い分けていきます。

例えばグリースは、リューズを操作して、力が加わる歯車の軸となる部分やレバーなど、パーツ同士が擦れる部分に使用します。さらっとしたものは針を動かす歯車の石の部分などに使います。クォーツ時計の場合は駆動する力が弱いので、負担にならないよう、全体に軽いオイルを使います。

注油は最大の難関

注油する時はオイラーと呼ばれる専門工具を使います。摘まむ柄がついて針のようなものです。その針先にオイルをつけ、部品に注油していきます。適量を必要な箇所に注油していきますが、量は非常に微量です。

市販のオイラーは一番細いものでも、まだ太すぎるので加工、あるいは一から技術者が制作します。技術者は多くの種類のオイラーを使い分けています。

オイルは多すぎると精度が落ちたり、そのオイルが邪魔になって歯車の動きが悪くなってしまうこともあります。逆に少なすぎても動きが悪くなってしまったり、部品の消耗を早めてしまうこともあります。部品同士が摩擦によって傷み、劣化を進める原因となるため、オイル量の加減は慎重に行っていきます。注油する場所、量や手順などはある程度決まっていますが、一つ一つの部品はとても小さく繊細な作りになっているため、ルーペや顕微鏡を使って慎重に作業をしていきます。

注油作業はオイルをただ注すだけではなく、いくつかのオイルを適切に使い分ける必要があります。そして最大のポイントは、どれくらいの量を注すのか?という問題です。

答えは”適量”です。つまり数値化できません。もしあなたが時計修理技術者を目指すなら、この注油とテンプヒゲ調整が克服すべき最大の難関になるでしょう。

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こちらのコラムでは主に初めてオーバーホールする方に向けてぜひ知っておいていただきたいことを書いています。

カナルクラブではオーバーホールの大切さを知っていただき、大切な腕時計の価値を長持ちさせていただきたいと思っております。

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