おそらく30年位前の話になります。当時ピアジェの日本代理店だった平和堂貿易の技術者の方に「非防水のピアジェの適正メンテナンス時期は?」と質問したことろ「1年」という回答でした。
その時は素直に納得したのですが、今思うといくらなんでも短すぎませんか?でもメーカー(というか代理店としては)そういう考えになるのでしょうね?・・・多分デパートを通じてそういう時計を購入した外商のお客さんは「そうですか。ではオーバーホールしてください」と言う感じだったのかもしれませんね。
常に手がかかるのも当時のピアジェのような高級宝飾時計では当たり前という感じだったのでしょう。もしかするとオーナーもそういうのが嬉しかったのかもしれません。当時のピアジェのイメージは超薄型、金無垢(K18)のケースとブレスレットダイヤモンドとサファイア、ルビーがちりばめられている。今の高級時計のイメージとはかなり違う宝飾時計としての価値です。当時のきらびやかな宝飾時計と今のどちらかというとカッコよく、カジュアルな高級時計の違いは着物と洋服の違いのようなものだと思います。
超薄型時計なのでムーブメントも当然薄型ということになりますが、詳しい人に話を聞いてみると部品と部品の間に隙間がほとんどないようです。特に変わっていたのはクォーツ、たしかキャリバー(ムーブメントナンバー)は7pか、それ以前のものですが,オーバーホールや電池交換の後、コンピューターで再プログラミングしなくてはならないタイプもありました。こういう、ある意味無理をして開発したムーブメントだと数年メンテナンスしないと大変なことになるのかもしれませんが、一般のムーブメントですとそれほど大事にはなりません。むしろ非防水時計はオーナーも非防水ということを意識するので水、汗には気を付けます。
ピアジェほど繊細はムーブメントでない限りおそらく3年から4年毎のオーバーホールで大きなダメージは受けないと思います。古いロレックスチェリーニ、カメレオン、オールドオメガ(特にレディース)は非防水であるにもかかわらず、驚くほど部品のダメージが無いものがありますが、明らかにこちらの方が普通と言えます。危ないのはむしろロレックス、オメガシーマスターなどの強化防水時計です。ゴムパッキンが劣化すると防水機能は落ちますが、それは使用していてもガラスが曇ったり、水滴が付いたりしないと気づきません。(だから定期メンテナンスが必要になります)効いていたはずのものが、ある時効かなくなるのは怖いですね。