30年くらい前,当時、テクノス・ウォルサム、そしてピアジェの代理店だった平和堂貿易の技術者だった方から聞いた話しです。会社が輸入したクォーツ時計の調子がどうも良くない。オーバーホールして部品を交換するものの良くならない。電子回路を交換したり、コイルを交換したりして、「全部品を交換したが駄目だった」ということです。
やはり初期には部品製造の精度の問題などもあったのでしょう。特に今までゼンマイ時計専門で来た技術者にとってクォーツは“目で見て原因を発見する”ことが難しいというのもあったはずです。電気系の部品は目で見ても故障がわからないからです。こういう問題は技術者より製造者が改善していくに任せるしか方法がありません。そのうち問題が消えていって今に至ります。また、クォーツ時計の電子回路の破損が最近では非常に少なくなっています。こういうのも部品製造の精度がアップしたからでしょう。
ゼンマイ時計ではどうか?
オートマチックや手巻きの時計ではどうでしょうか?ゼンマイ式時計もムーブメントがマイナーチェインジでなくフルチェインジすることがあります。最近で言うとオメガのコーアクシャル導入そしてロレックスでは,レディースでは203系から21系そして22系へ。メンズでは15系から30系そして31系 さらに最近の32系へと移行してきています。そしてその新しいムーブメントに交代してしばらくは.いろいろな不具合に遭遇することもあります。
特に特定の部品の破損が多すぎるなどです。メーカー側はその対策に躍起になり、結局は改善に成功します。修理者側からみると、どんどん壊れる部品がいつの間にか、なぜか、壊れなくなります。しかし、最近の新ムーブメント(最近というのはここ10年から15年位でしょうか?)特に大きな初期トラブルというのが無いようです。これもコンピュータや工作機械の発達による部分が大きいのでしょう。