どういう時計が難しいか?
昔聞いた話しですが、熟練の技術者にとってロレックスの修理は簡単だそうです。では難しい時計はどんな時計か?出来の悪い時計と、ピアジェなどの超薄型。超薄型時計はガラスと針の間の距離が、たしか100分の1ミリ(?)と聞いたことがありあますが、このような時計ですと、ガラスと針が完全に平行でなければ接してしまうというレベルです。そして内部は部品が積み重なっていて、部品と部品の間にわずかに空気が有るか無いか?というレベルです。
ではロレックスはどうなのか?
その天井の低い部屋にたくさん荷物を詰め込んだような超薄型時計に比べるとロレックスは大きな体育館のようなもの。以前ピアジェをメーカーで担当している技術者に、その人にとって生まれて初めてのロレックスのオーバーホールを依頼した際に「こんなに簡単な作業でお金もらってイイのか?」と言っていたことがあります。もちろんロレックスはテンプも特殊な構造ですし(それにより良い精度を実現しています)、その構造を理解し、扱い方を知らないとオーバーホールできません。(というか、やっても良い結果がでません)そのような特殊性というものがロレックスのムーブメントのいたるところに間違いなく存在し、ロレックスをロレックスとして成り立たせています。
しかし、そういう部分を理解した技術者にとってはロレックスのオーバーホールは簡単なんです。また別の技術者が言うには「良い時計はオーバーホールが簡単」という考えがあるそうです。つまりきちんとできているので、直しやすいということです。高いお金を払って手に入れる時計、つまり高級時計は長年使い続けるので直しやすさも、メーカーサイドのよく考えるべきポイントです。
ただし、・・・
ただし、時計のダメージが大きいとやはりオーバーホールは難易度が上がり、時間がかかります。ですので、カナルクラブは時計の年齢に限らず、良い状態の時計をメンテナンスさせていただくこと、我々にとっても(作業が容易)、オーナーの方にとっても(メンテナンス代が安上がり)、良いことだと考えています。もちろんこれには基本設計のレベルが大きく関係してきます。