
先日店頭で、新品でご購入から5年経過したロレックスをお預かりしました。
新品で購入から5年のロレックスです。こういう場合は部品に注したオイルの劣化とゴムパッキンの劣化があるだけで負担の少ないメンテナンス(予想金額としては¥35,000-くらい)が期待できます。
しかしチェックしてみると、リューズとチューブの部分が緑色に変色していて、ネジ山の長さも短くなっています。普通5年でこのような状態にはなりません。どんなに毎日使っても5年でこれはちょっと考えられないのですが、もしかするといくつかの条件が揃うと起こり得るのかもしれません。
今回は、このようなことがなぜ起こったのか?・・・
考えるのではなく、「こういうこともあった」ということを報告するにとどめます。
さて、ここで本題ですが、リューズなどのステンレス部品の腐食全般について書きたいと思います。リューズなどの腐食は、もちろんロレックスに限ったことでは無く、もう一つの代表的な強化防水時計であるオメガシーマスターでも、日常防水・非防水の時計でも同じです。
ステンレスは最高の材質だが・・・
ステンレスは腐食し難い材質として時計のケース・ブレスレット・リューズ・ボタンなどに使われています。なぜ腐食による劣化が少ないかというと、ステンレスは表面が空気に触れていると酸化被膜ができて、腐食しないという性質があるからです。
しかし、時計の構造上、隙間がほとんど無い場所では、汗に含まれる脂分がステンレス部品の内側に空気が触れない状態を作ってしまいます。それはリューズ、クロノグラフのボタンの内側ケース裏ブタブレスレットのコマとコマを止めるピンなどです。
どのようにリューズを守るか?
このステンレスの劣化のスピードを遅らせるにはどうすれば良いか?
1 夏の使用頻度が低ければダメージも少ない
2 定期的なメンテナンス(オーバーホール行う)ということになります。
夏の使用頻度についてですが、せっかくロレックスやシーマスターを買ったのに夏に使えないというのは酷というものです。使っても問題ありませんが(ゴムパッキンが劣化していなければ)、「2.定期メンテナンス」は必ず行ってください。
オーバーホールにはケース・ブレスレット・リューズ・ボタンの内側を洗浄して綺麗に洗浄しますという作業も含まれています。これで再び酸化被膜が形成され腐食しない状態に戻ります。これだけでリューズ・ボタン・ブレスレット・ケースなどの劣化を圧倒的に遅らせることができます。
リューズやボタンなどの高額部品を守ることができて初めて、“理想的なメンテナンスサイクル”に入ることができます。