
腕時計の中でも「クロノグラフ」は、単なる時刻表示を超えた計測機能を持ち、多くの時計愛好家に愛され続けています。今回は、クロノグラフの基本的な仕組みや代表的なモデル、さらに適切なメンテナンス方法について詳しく解説します。
クロノグラフとは?
クロノグラフとは、ストップウォッチ機能を備えた腕時計のことを指します。通常の時刻表示とは別に、秒単位・分単位・時間単位で経過時間を計測できるのが特徴です。ダイヤル上に「サブダイヤル」と呼ばれる小さなカウンターが配置されており、これらを使って時間の計測を行います。
クロノグラフの歴史は19世紀にさかのぼり、最初のクロノグラフは1816年にルイ・モネによって発明されました。以降、スポーツや航空業界、モーターレースなどで精度を求められる場面において、その重要性を増していきました。
クロノグラフのカウンターの種類
クロノグラフには、さまざまなタイプのカウンター(積算計)が搭載されています。それぞれの特徴を知ることで、用途に応じた時計を選ぶことができます。
1. 30分積算計
クロノグラフの基本形ともいえるカウンターで、最大30分までの計測が可能です。短時間の計測に向いており、スポーツや日常生活での活用に適しています。
2. 12時間積算計
長時間の計測ができるカウンターで、特に過去には耐久レースや長時間のイベントで活躍しました。例えば、ル・マン24時間レースのような長時間にわたるレースでは、経過時間の管理に役立っていました。
現在では、アウトドアや旅行中の時間管理、スポーツ観戦、会議や作業の記録など、日常生活のさまざまな場面で活用されています。長時間のアクティビティを計測する際に、便利な機能として多くの人に愛用されています。
3. スモールセコンド
通常の時計の秒針が独立したカウンターとして動作するものです。クロノグラフのストップウォッチ機能とは別に、通常の時間を示す秒針として使われます。
4. フライバッククロノグラフ
クロノグラフのリセットボタンを押すと、瞬時にゼロに戻り再計測が可能な機能を備えたタイプです。特に航空計測において、瞬時に計測を再開できるため、パイロットウォッチに多く採用されています。
クロノグラフの名作モデル
クロノグラフは、多くのブランドから魅力的なモデルがリリースされています。以下は、その中でも特に名作とされるモデルです。
ロレックス デイトナ
「キング・オブ・クロノグラフ」とも称されるデイトナは、モータースポーツの世界で絶大な人気を誇るモデルです。1963年に発表され、特に俳優ポール・ニューマンが愛用していたことでも有名です。耐久性と精度に優れたムーブメントを搭載し、現在も高い人気を誇ります。
オメガ スピードマスター
NASAの公式採用時計として知られるスピードマスターは、1969年のアポロ11号の月面着陸時に使用されたことで「ムーンウォッチ」の愛称を持ちます。過酷な環境でも正確な時間を刻むことができる高耐久性を備えています。
ゼニス エル・プリメロ
1969年に発表されたエル・プリメロは、世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントとして時計史に名を刻みました。毎秒10振動(36,000振動/時)という高振動ムーブメントを搭載し、極めて精度の高い計測が可能です。
タグ・ホイヤー カレラ
モータースポーツとの結びつきが強いタグ・ホイヤーのカレラは、視認性の高いダイヤルとスポーティなデザインが特徴。伝説的なレース「カレラ・パンアメリカーナ・メヒコ」からインスピレーションを受けたモデルとして、今もなお愛されています。
クロノグラフの精度を保つための注意点
クロノグラフは一般的な腕時計よりも構造が複雑なため、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下のポイントを押さえて、長く愛用できるようにしましょう。
1. 定期的なオーバーホール
クロノグラフは部品点数が多く、細かい歯車やカム機構が精密に連動しています。そのため、オイルの劣化やパーツの摩耗による影響を受けやすく、通常の機械式時計よりも短い周期(3〜4年)でオーバーホールが推奨されます。
2. リセットボタンの誤操作に注意
クロノグラフのリセットボタンを押す際に、時計が完全に停止していないと内部の歯車にダメージを与える可能性があります。特にラトラパンテ機能を備えたモデルでは、誤操作による故障が発生しやすいので注意が必要です。
3. 防水性能の維持
クロノグラフのプッシュボタン部分は、通常の腕時計よりも水が侵入しやすい構造になっています。防水仕様のクロノグラフでも、ボタンを押した状態で水に触れると内部に水が入るリスクがあるため、水辺での使用には十分注意しましょう。
4. 振動や衝撃に気をつける
高振動ムーブメント(例:ゼニス エル・プリメロ)を搭載したクロノグラフは、強い衝撃を受けるとムーブメントの精度に影響を与える可能性があります。スポーツ時の使用や、不意の落下には特に気をつけるようにしましょう。
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