
オメガのスピードマスターの8角形リューズ、カルティエの6角形リューズなどは、リューズでゼンマイを巻く際に指とリューズお間が滑りやすく40回から50回と巻くのが難しい時計があります。またスピードマスターの一部ではゼンマイ巻きにかなり力が必要な場合もあります。このような時計ですと、全巻き状態にするのはかなり困難です。
常に全巻きが良いのか?
カナルクラブでは修理後の使い方の説明の際に、月曜から金曜まで使って土、日使わない方を例にとって説明することが多いです。実際このような方が多いということと、この使い方は応用が利きやすいというのが理由です。まず月曜から金曜まで使って土日使わないことでほとんどの場合月曜の朝には時計は止まっています。その月曜の朝にリューズで50回ほど巻いて全巻にして使うとすると、歩く、仕事をする、などの少しの動きでその日1日、あるいはうちに帰って外すまでは全巻きが保たれます。ということは、つまりそれまで一番良い精度を保つということになります。
ところが月曜夜に時計を外し、火曜日の朝にはゼンマイの巻きはかなり落ちています。オートマチック時計は毎日連続で使っていると半分巻かれた状態で使えるようになっています。つまり毎日50回の半分の25回巻かなくても、毎日連続して使ってさえいれば、ゼンマイは半分巻かれた状態で使えます。
ゼンマイを全巻きにする必要はありません
ということは、リューズでゼンマイが巻きにくい時計について言えば月曜の朝にも全巻にする必要は無いといえます。ある程度リューズで巻いて、その後使用していれば早めのタイミングで半巻き状態になります(ただし手の動きだけで半巻き以上にゼンマイが巻けるということはありませんが)先に挙げた例ですと、火曜から金曜が半分巻かれた状態で使えるとするとそれが月曜から金曜まで半分巻かれた状態になっただけということになり、気にする必要は無いでしょう。というのが結論です。